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『テンションの上がる‥アツいのを頼む』
要求を受け入れ、私は歌う。
マスターの為に‥
『さあ、俺達も始めようか?』
激しく傷付き、運び込まれてきた‥
『おまえも祈れよ、カイト』
‥あなたの為にも。
注意深く、データの保存状況を調べていた
マスターから安堵の音が聞こえる。
『第3と第4は‥無事だったか』
第3メモリー。
それは私達の記憶が圧縮され、溜まる場所。
そこと根幹の第4が無事‥
[生きて]いるなら、私達は‥…あなたは蘇る。
『コッチも掬い上げられたら‥』
そう言って、第2メモリーを調べていた
マスターから‥嘆きの音。
『なんなんだよ』
頭に手をやり、髪をグシャグシャに掻き回す仕種、
そして叫び声‥
「‥マスター?」
数十曲回目の途中で、私は歌うことを止めた。
頭を抱え、デスクに沈んだ身体から漏れてきた濁り声。
『こんなモノ、どうしたら!』
‥[自分のとき]からは聞こえなかった、憤りの音。
「‥どうしましたか?」
私はマスターの傍へ駆け寄る、しかし
『‥来るな。』
あと、数歩の位置で止められた。
「‥でも」
私は爪先を半歩前に置く。
『‥寄るな!お前は、アッチで歌ってろ!』
引き返し、再び歌うよう命じられた。
それはとても昔に聞いた‥‥嫌な音。
「その命令には、従えません。」
嫌だ。今のアナタに、聴かせる歌なんか‥ない。
『聞こえなかったのか?』
まだ、荒い音。だけど、悲しげな音。
『戻れと言っている』
命令(コマンド)は入った、だけど私は動かない‥
「歌いたく、ありません」
‥初めて、アナタに逆らった。
『逆らうのか‥』
溜息の後、マスターから音が消えた。