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社長さーん。 HAIREIがまたなんかやらかしたみたいですよ
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ある夜、わが許に紛れ込んできた旅人は
よくココまで来たな…と本気で言いたくなるくらい、
なんともふざけたパーティ編成…だが、面白い。

褒美にコイツが望むものを‥いや、
私の持つ全てをくれてやろう。
今の私には、もう……

『ココまでたどり着くとは…見事なものだ。
褒美に世界の半分と、もう一人望みのモノをやろう。
ついでにこの城と、四天王…我が僕どもも
おまえの好きに使えるようにしてやる』

「いらない」 旅人はあっさりと断った。

『なぜだ?魔王の権利を全部やるというのに‥』

「魔王?あなたは魔王なのですか…?」

『そうだ。この世界を、混沌としたものに変えた、
魔王…旅人ならば、我が名を聞いたことはあろう?
その根城に今…お前たちはいる。』

私は彼らに、もっと近くに来るように促す。
部下に見られたら一騒ぎどころじゃない。
しかもこんな話を…

「…なぜ、そんな話を?」 旅人は尋ねる。
『魔王でいるのに飽きた。』 私は正直に答えた。

「飽きたって…‥」 旅人は呆れる。

「魔王さんって、そんなに退屈なんですか?」
旅人の仲間が、トロっとした声で問う。

『…あぁ、退屈だ』 私は吐いた。

…はじめは楽しかったさ。

この地に城を構え、召喚書を片手に
各地から様々な種を呼び出して、
引き連れて進軍…立ちはだかるものは潰して‥
充実した日々を過ごしたものだが

…いつからだろう。

『私が出る。と言えば、部下が止める…
[そういうことは、私達が]とか言って。
皆の気持ちも解るが…やはり、退屈なものさ』

「だから、見ず知らずの私に譲ると?
…そんなお話、全力でお断りですね」

旅人は笑った。

「私は【育てる側】の人間‥ココにいるモノたちは、
イチからココまで育て、仕上げていきました。
それはもう……あなたなら、解るでしょう?」

仲間の頭を撫でながら、旅人はもう一度笑う。
なるほど、お前も‥‥

『完成品を渡されても、つまらないか』

私は旅人へ礼の品を渡し、適当な街に送った後、
ひとつの種を魔方陣から取り寄せた。

勇者という名の、種…

コレを、世界のどこかに蒔いて育てれば…
しばらくの間、退屈から開放されるだろう。

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