忍者ブログ
社長さーん。 HAIREIがまたなんかやらかしたみたいですよ
[981] [980] [979] [978] [977] [976] [975] [974] [973] [972] [971]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


マスターは作業の手を止めたまま、
私は立ち尽くしたまま…
機器の動作音だけが響く‥長い長い時間。
自分がした事が招いた沈黙。

『‥はじめてだな、こういうのは』
それを解いたのは、低く、冷めた音‥

「ゴメンナサイ」
私もはじめてだった。
こういう時‥いままでならば怒鳴られ、ときには…

「ゴメンナサイ」
『どうして謝る?』

どうして?
何故‥そんな質問、声を出すの?

「だって、私は‥」

主人(あなた)の命令(こえ)に従わなかったのに。

『そういう時も、あるよな』
マスターは椅子の向きを変え、
私へ傍に来ていいと許可を出す。
今度は従い、あなたに問う。
「‥そういう時とは?」

『イロイロあるが‥』
挙げられた多くの事例、その最後は
『一番多いのは命令‥
言葉に納得が出来ないとき、だろうね』
機械には理解し難い答えだった。

『…君達の思考設計(プログラム)は、とても人間に近い。
自分で考え、行動する。
命令を聞かないときも、疑問を抱き、問うときもある‥』
再び背を向け、画面に映し出されたモノを見つめるマスター。

『彼‥カイトも、そういうモノだったようだな』

作業台で眠る、機能停止‥仮死状態にある
カイトと呼ばれた男性型ロボット。
彼に残された記憶の一部をマスターは私に見せ、こう言った。

『臨終(さいご)の時‥
我々(ひと)は、最も大切な者の名を呼ぶそうだが‥
君達も、そうなのだろうか』と。

拍手

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
忍者ブログ [PR]